脂肪抽出の仕組みと注入技術

脂肪注入というのは脂肪=油を注入すると思っている方もおられるのですが、脂肪注入は油を注入するのではなく脂肪細胞を移植する移植手術にあたります。

脂肪移植は2種に大別され、切開し脂肪を塊のまま移植する移植方法と細かくした脂肪を注射器と針を使って移植する脂肪注入という移植方法があります。

脂肪注入は、切開せず、つまり傷あとを残すことなく、そして異物ではない自分の組織で永久的なボリュームを作れることがメリットです。

ただ、注入した脂肪全てが生着(注入した脂肪が再び定着すること)するわけでないというデメリットもあります。

そこで、手術の良い結果を生むためには、脂肪の採取方法、精製方法、注入技術がポイントになってきます。

【脂肪の採取】

脂肪注入の良い結果を生むには、まず脂肪自体が良質なものでないといけません。

吸引してから注入するまで、脂肪細胞ができるだけフレッシュであったほうがよいので操作は迅速に行います。

そして、脂肪が汚染されてはいけません。

手術の際にはどんな手術も清潔操作で行いますが、脂肪注入する脂肪はより清潔である必要があります。

脂肪を採取する際、脂肪吸引という手技を使うのですが、吸引した脂肪が空気中に浮遊するウイルスや菌に触れることがないように、脂肪吸引採取を含め脂肪の操作は全て外気に触れない密閉環境下で操作を行います。

【脂肪の精製方法】

以前は吸引採取した脂肪を軽く洗浄した後、そのまま脂肪注入するのが主流でした。

当院でも開院当初は洗浄方法や洗浄液に工夫を凝らしておりましたが、基本的には採取した形状のまま脂肪注入しておりました。

2013年頃からはウエイトフィルターを用いた遠心分離により脂肪を精製するコンデンスリッチファット脂肪注入を行うようになりました。

遠心分離にかけ良質な脂肪だけを使うことで脂肪の生着率が飛躍的に向上しました。

最近は注入脂肪に、より多くの細胞成分が含まれるよう遠心分離前に、アディナイザー等を用い脂肪を細かく細断してから遠心分離にかけコンデンスリッチファット(CRF)を作るようにしております。

それにより吸引した脂肪の量からすると注入脂肪として残るのは1/4くらいに減ってしまうのですが、選りすぐられた脂肪だけの集まりなのでより良い生着率が期待できます。

CRF(コンデンスリッチファット)による脂肪抽出

【注入技術】

脂肪注入の技術

脂肪注入というのは前述したように脂肪(油)を注入するのではなく脂肪細胞を移植する手術です。

脂肪注入してボリュームを増やせばよいというものではありません。

一旦、体外に取りだされた脂肪は血流が途絶えてしまいます。

脂肪注入をして自分の脂肪によみがえるためには、また血行が再開しなければなりません。

その為には血液が通っている組織にできるだけ接触する面積を多くするように注入しなければなりません。

つまり、1ヵ所に塊状に入れるのではなく、細かくまんべんなく脂肪注入していくのがポイントになってきます。

分かりやすく考えるとすれば、適度に土が入った植木鉢があるとします。

そこに上から種をいっぱい入れても、植木鉢自体は満杯になるかもしれませんが、全ての種から芽が出るわけではありません。

芽が出ず腐ってしまう種も出て来るでしょう。では沢山の芽を出すためにはどの様にすればよいでしょうか?

土にたいして見合った間隔で見合った量の種を植える事が重要で、それにより大半の種から芽が出るようにできるわけです。

脂肪注入も同じで、注入したい部分(顔のくぼみや溝、胸、お尻)の組織量に対して、見合った量の脂肪を注入することでよりよい生着率が得られます。

脂肪注入は注入すればするほど一瞬くぼみや溝が目立たなくなったり、胸が大きくなったりしますが、自分の脂肪としてよみがえり大きくなっているわけではありません。脂肪注入と言ってもただ脂肪を注入すればよいという訳ではないのがおわかり頂けたのではないでしょうか。

そこで、手術の良い結果(より良い生着率)を生むためには、脂肪の採取方法、精製方法、注入技術がポイントになってきます。

脂肪注入の生着率

より良い生着率を得るには、上記のように、採取、精製、注入の3つそれぞれが重要です。

  • 採取:清潔かつ迅速に脂肪を採取する必要があります。
  • 精製:採取脂肪の中から良質な脂肪だけを抽出し使用します。当院ではコンデンスリッチファット(CRF)を使用。
  • 注入:適切な量のコンデンスリッチファット(CRF)を細かく丁寧に脂肪注入していくのがポイントです。

当院では、これらの事を常に念頭に置き、採取部位、注入部位の取扱いを行っております。

注入技術の特徴

1.ウェイト効果

通常の遠心分離の約25倍のG(圧力)をかける

ウェイトフィルターのウェイト(重さ)によって、遠心分離の際に脂肪にかかるG(圧力)は、通常の遠心分離のG(圧力)の約25 倍になります。この時、老いた弱い脂肪細胞はG(圧力)に耐えられず、排泄オイルになります。

この約25 倍のG(圧力)に耐えられた強く健全な脂肪細胞(コンデンスリッチファット)のみを抽出し、注入に使用します。

2.フィルタリング技術

コンデンスリッチファットと排泄オイル(トリグリ)を分離

ウェイトフィルターには、液体のみを通す小さな穴が空いており、採取した脂肪から注入には適さない排泄オイル(=トリグリ(死活・老化細胞))を取り除くことができます。

従来の脂肪注入法では成し得なかった、不純な排泄オイル(=トリグリ(死活・老化細胞))と新鮮で健全な脂肪との分離が、このフィル
ターにより実現しました。

3.空気に触れないプロセス

脂肪採取から注入まで、すべて空気に触れないシリンジ内で行う。

全てのプロセスを空気に触れないシリンジ内で行う

従来の脂肪注入は、採取から注入までに行う脂肪は、空気に触れた形で移動しておりました。一方、コンデンスリッチファットは、チュメセントの注入、脂肪吸引、廃液、コンデンスまでをシリンジから出す事無く、空気に触れないで行います。

よって、空気に含まれる菌やほこりなどのコンタミ(不純物)に触れる事の無い環境で行うため、感染症等のリスクを大幅に削減しました。

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